アコギのある風景

押尾コータロー好きなおじさんのギター日記

風になった

先日、祖父が亡くなってしまった。僕が小さい頃からとてもお世話になっていて、年越しはいつもその祖父の家で過ごしてきた。14年前に祖母を亡くしてからも一人で逞しく生き、今まで病気一つしなかった祖父。約2ヶ月前に突然倒れ、そしてお盆に合わせたようにあっさりと逝った。そんな祖父が僕にはとても潔い生き方のように思えた。

両親の実家に遺体が運ばれ、ロウソクと線香の火を絶やさないため徹夜で兄と共に祖父を見守った。線香をあげる度に幾度と無く祖父の安らかな顔を見つめていると、ふと最後の最後に僕のギターを聴いてもらいたくなった。今年の正月に一度ギターを祖父の家に持っていったことがあったが、ちゃんとまともに聴かせた事はなかった。

そして、僕は父のギターを借り祖父が横たわる布団の傍で気持ちを込めながら「風の詩」をゆっくりとゆっくりと弾いた。たくさんの祖父との日々を思い出しながら、1音1音に心を込めて。リズムもゆれゆれで演奏としては酷いものだったかもしれない。だけど、祖父の心に僕の音が少しでも届いてくれているといいな。